東京マラソン2021感想、長くなりましたが今回でラストになります。
一山選手&新谷選手は大健闘!?
- 一山選手が2時間21分2秒
- 新谷選手が2時間21分17秒
日本記録(2時間19分12秒)を期待されていただけに、残念に思った方も多かったかもしれません。
でも両選手ともに絶好調でなかった(注)こと、ペースメーカーが抜けてから風の影響を大きく受けたこと、トップのコスゲイが自己ベストから2分以上遅れていること、ライバルと思われていたサラ・ホールに勝ったことを考慮すると、2人のこのタイムは十分立派だと思います。
(注)一山選手はクイーンズ駅伝でエース区間の3区を区間13位、年明けの都道府県女子駅伝でアンカー10km区間を区間12位。新谷選手はクイーンズ駅伝で準エース区間の5区を区間2位。その後の実業団ハーフで1時間10分12秒
今後は新谷選手はトラックで世界を目指したいとマラソン直後は話しています。ユージーン世界陸上はそのようになると思いますが、MGC挑戦権を獲得しているので、とりあえずそこには出てくるかもしれません。
一山選手は、日本記録を目指すのか、それとも勝負勘を養うのかによって次のレースが変わるでしょう。日本記録を目指すなら秋のベルリンマラソンかシカゴマラソン。勝負勘を養うなら11月のニューヨークシティ(ペーサーがいない、起伏がある)が良いでしょう。その後、年明けからMGCに向けて準備をしていくというのが良いと思います。
選考レース、どれを選ぶ?
今回の東京マラソンはMGCの選考レースの1つでした。選考レースはほかに福岡国際、別府大分、大阪・びわ湖統合マラソン(以下大阪)とあります。
それぞれのペース設定をみると、別府大分と大阪は先頭がキロ3分(別府大分は強風のため最初は3分5秒だった)、福岡国際と東京は2分58秒でした。福岡はキロ3ペーサーも用意されましたが、東京はキプチョゲたちがいる第一ペーサー(2分53~54)と第二ペーサー(2分58秒)だけ。必然と、日本人実業団ランナーは2分58秒ペースでいくことになります。
鈴木選手や井上選手のようなキロ3ペースで走り切れるチカラがある選手なら、2分58秒ペースに挑むのは理に適っていますが、まだ走り切ったどころか2時間10分も切っていないような選手がそこに挑むのは自殺行為です。もちろん成功する確率が0ではないと思いますが、ハイペースについていって一体何を学べるのかということです。
そういう意味で、別府大分や大阪はまずはキロ3で走りたいという選手たちにとっては良い選択肢になります。1万m28分台の選手たちにとっては、そのようなレースを選択した方がスピードに余裕があり後半の失速も小さくなり、ちゃんと“マラソン”を走れるわけです。
来シーズンのレース選びはいい記録や順位だけではなく、MGCに行くためのワイルドカード(2レースの上位記録の平均が2時間10分以内)を達成しにくる選手が多くなります。そちらの方が明らかに簡単だからです。となると、ペース設定が速くて後半潰れる可能性がある東京よりも、別府大分・大阪を選んだ方が可能性は高いのではと呼んでいます。東京は中途半端な記録じゃなくてすごい記録をだしたい、世界のトップと走りたいという選手には良いと思います。
以上、東京マラソンについて4日に渡って長々と感想を書きました。お読みくださりありがとうございます。