前回は東京五輪男子マラソンで優勝したエリウド・キプチョゲ、銀メダルのアブディ・ナゲイエの現在地を紹介しました。ともにその後のマラソンで優勝を果たすなど、五輪のメダリストは強いんだというのを証明しています。今回はその後の順位の選手たちの紹介です。
銅メダル バシル・アブディ
東京五輪マラソン、最後の三つ巴のスパート合戦。余裕があったのはオランダのアブディ・ナゲイエ。対抗していたのはケニアのローレンス・チェロノ。そして余裕がなかったベルギーのバシル・アブディ。脚を攣っていて満足に走れないながらも、ナゲイエの手招きと励ましもあり、なんとか銅メダルを獲得しました。その時の光景に感動をもらった視聴者の方も多かったと思います。
そんなバシルですが、東京五輪のわずか2ヶ月半後に開催されたロッテルダムマラソンで2時間3分36秒の自己ベストで優勝しています。タフすぎる・・・。
ナゲイエと同様、バシルもソマリア出身で難民としてベルギーに移住します。元々強いというわけではなく28歳で走ったリオ五輪は5千mと1万mに出場。1万mは20番でした(大迫選手は17番)。
リオ五輪後にマラソンに挑戦し
- 2018年のロッテルダムで2時間10分46秒
- 2019年のロンドンで2時間7分3秒
- 2019年のシカゴで2時間6分14秒
- 2020年の東京で2時間4分49秒
そして前述の2021年のロッテルダムで2時間3分36秒と年々速くなっています。何がすごいってバシルが走り始めた頃にはすでにヴェイパーフライが開発済みだったので、厚底を履きながらパワーアップをしていたということです。薄底→厚底で速くなる選手は多くいますが(キプチョゲもベケレもこのタイプ)、最初から厚底、しかも2019年ロンドンからはヴェイパーフライネクスト%を履いて速くなり続ける選手は今の所少ない印象です。
4位 ローレンス・チェロノ
30km過ぎにキプチョゲが飛び出して、その後ずっと集団を引っ張っていたのがローレンス・チェロノ。残念ながら最後はスパート合戦で力尽きてしまいましたが、実力者であることを証明してくれました。
もともとキプチョゲが全盛期ほどの力はないのではとみられていて(蓋を開ければ全然そんなことなかった)、そうなればチェロノかエチオピア勢が優勝候補と見られていたのですが、その理由がチェロノの戦績。ウィキペディアによると
東京五輪まで16戦8勝、2位が6回、つまり16回マラソンを走って2位以内が14回という凄まじい成績を残しているのです。2019年にはボストンとシカゴという世界トップレベルのマラソン大会も優勝しています。記録も2時間3分4秒とかなり速い。
それだけに東京五輪はキプチョゲvsチェロノvsエチオピア勢を期待していたのですが、エチオピア勢は全員途中棄権、チェロノはキプチョゲに全く歯が立たず、メダルも逃すという予想外の結果になりました。
そんなチェロノですが、次戦は4月18日(月)開催のボストンマラソン。ここでまだまだ力があることを見せておきたいところです。