東京五輪男子マラソンの上位選手たちの現在地その4

今回は東京五輪男子マラソンで7位に入ったタンザニアのアルフォンス・シンブと8位に入ったアメリカのゲーレン・ラップの紹介です。

7位 アルフォンス・シンブ

東京五輪時の自己ベストは2019年にびわ湖毎日マラソンでだした2時間8分27秒。一見なんでこの選手が・・・と思われがちですが、シンブが上位に入れたのには

  • マラソン選手としての強さ(速さより強さ)
  • 夏レースでの強さ
  • ペーサーなしの大会(チャンピオンシップスタイル)での上手さ

の3点があるのではと思うのです。それを証拠に

  • 2016年リオ五輪男子マラソン 5位
  • 2017年ロンドン世界陸上 3位
  • 2019年ドーハ世界陸上 16位
  • 2021年東京五輪男子マラソン 7位

とドーハこそ外しましたが、それ以外のレースではかなり良い成績を残しているからです。WMMや世界陸上での3位以内が五輪の8位以内の価値を持つとすれば、シンブの東京五輪7位というのは驚くことでもなんでもないということです。

そんなシンブですが、2月のUAEのハーフマラソンで1時間3秒、4月のミラノマラソンで2時間6分20秒で走っています。実績に速さも伴ってきたということでしょうか?まだ30歳なので今後さらなる成長を遂げる可能性もあります。

8位 ゲーレン・ラップ

リオ五輪で1万mを5位、マラソンで銅メダルという実績を残したラップ。実はこのときマラソン2戦目というのですから驚きです。

その後も実績を積み重ねシカゴマラソンとプラハマラソンで優勝を重ねるなど、大迫傑選手同様、ラップも強さと速さを兼ねる選手です。

そんなラップ、2018年のシカゴマラソンで5位になります。その後、踵部分の手術をすることになり長期の戦線離脱をします。ちなみに同じレースには大迫選手も出ており日本記録(2時間5分50秒)で3位に走っています。

その後は復帰がなかなか進まず、2019年のシカゴマラソンは途中棄権。もう駄目かと思われるも2020年2月に開催されたオリンピック選考レースで優勝。見事にアメリカ代表枠を勝ち取りました。

コロナの影響で五輪が1年延期になったことも万全を期して身体の調子を戻したいラップには有利に働いたはずです。その間はハーフマラソンを走ったり、1万mの記録会に出たりとしていました。ただ、以前のような躍動感のあるフォームではなく、1万mは28分を切るのがやっとで世界陸上やオリンピックの1万mで上位入賞していたときのような全盛期は遥かに過ぎているのではと感じられました。

それでもオリンピックは8位入賞。その2ヶ月後のシカゴマラソンでは2時間6分35秒で2位。日本記録保持者の鈴木健吾選手も出ていましたが4位で記録は2分遅れでした。まだまだ本調子とはいえないかもしれないですが、それでもまだまだ強いんだな、世界のトップレベルなんだなというのがわかります。

ラップの次なる目標は生まれ故郷オレゴンで開催される世界陸上。ここで悲願の金メダルをとれるかどうかに注目です。

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