やりたいことの1つである「百田尚樹作品を読む」。先日、百田さんのデビュー作である永遠の0を読み終えたので感想を書きます。
これからますます価値を増す作品
現代に生きる青年には実は今まで知らなかった血のつながった太平洋戦争で特攻にて亡くなった祖父がおり、その祖父の物語を知ろうと当時の知り合いをあたっていく中で祖父に関する真実が少しずつ明らかになっていくというストーリーです。
全編を通して戦時中に関することが紹介されています。その語り部となる人たちは物語の中ですでに相当の高齢者です。
そういう方々は現実世界においてどんどんその数を減らしています。1945年に終戦したのですでに80年近くが経っています。当時の0歳でも80歳。特攻要員だった方々は100歳くらいでしょうか?男性ということを考えても生き残っている方は相当いないのではないでしょうか?
これは当時の状況を語ることができる人間がいないということを示唆しています。僕が小さい頃(20年前)だとまだそういう方々は生きていたため、自身の子供や孫に当時のことを話すことができたでしょう。でももういない、ということは今の若い世代は当時のことを知る機会が無いのです。
そう考えると、フィクションではあるけれどもこの物語の価値というのはこれからますます増していくのでは無いかと思うのです。太平洋戦争とは何だったのか、特攻とは何だったのか、日本はなぜ負けたのか・・・こういうこと小説という形で知ることができるのです。
情報量に圧倒される
実は今回読んだのは3,4回目。ですが、読むたびに知らなかったこと、あるいは知っていたけど記憶から消えてしまったものが多くあります。そもそもページ数も膨大なため、はじめにでてきたことを最後の方は記憶していないということもあるのです。
百田さんの作品全般に言えることですが(歴史書の日本国記ではそれが顕著)、どうやってこんなに多くのことを知っているのか、調べたのか本当に気になります。多少知っていてもそれを書くというのはまた別です。そのものを自らのものとして処理しないと書くことはできないというのは、このブログを通して感じています。だからこそ百田さんの凄さというのが分かります。
歴史を知るということ
「歴史は繰り返す」といいますが、大体悪い意味で表現されていると思います。そういう悪いことを繰り返さないために、過去から学び今後に活かすというのが、歴史を勉強することの意義だと思います。日本の中高教育であるような、暗記暗記暗記で知識を増やすのが目的であってはいけないのです。
太平洋戦争というのは日本史において最も悲惨なできごとです。誰が悪いというのではなく、誰もが各々の正義に従った結果起きた惨事なわけですが、そこから学ぶことによって将来同じようなことが起きないように、また起きたとしても別の選択肢が取れるかもしれません。
そのために永遠の0のような小説を読むことによって過去に対する関心を高め、より歴史について学んでいく必要があるのではないでしょうか?
改めて歴史について学んでいかないとと思わされた1冊です。