前回に引き続き、東京マラソン2021を観た感想を書いていきます。
世界がみえた鈴木健吾
昨年の3月に2時間4分56秒で日本新記録をだした鈴木選手。ただこのときは気象条件が良く、特に35km以降は追い風が吹いていました。日本記録がまぐれじゃないことを証明する。それが鈴木選手にとっての次の課題となりました。
その後、秋のシカゴマラソンで4位、そして今回の東京マラソンでも4位、記録面でも2時間5分28秒と上々、と世界のトップクラスと戦えるところまでもう一歩というところまできました。
東京五輪で6位に入った大迫選手は、ボストンとシカゴで3位、東京で4位という実績があります。オリンピックのような世界の舞台で戦うためにはWMMで表彰台に上がる力が必要です。鈴木選手は今そこにいけるかどうかというところにいます。
次レースはおそらく世界陸上(ユージーン)になるでしょう。そこでオリンピックほどではないですが、世界トップクラスの選手たちとどう勝負するのか。そしてそこで6位以内に入れたとしたら、鈴木選手は間違いなく世界で通用する選手だということです(世界陸上のマラソンはオリンピックほど強い選手が集まりません。強い選手はベルリン、NYC、シカゴに出ることもあるからです。オリンピックは4年に1度という特性もあり、WMMを押しのけてキプチョゲのような強豪選手が参戦します)。
世界陸上のあとは、日本のレースではなく、NYCやボストンのようなペーサー不在のレースにも参戦してほしいです。とはいってもMGCがまた9月ということを考えるとボストンの4月はダメージが残ると思うので、NYC(2022年11月)→東京(2023年3月)→MGC(2023年9月)が適当でしょうか?11月も世界陸上のあと4ヶ月と考えると大変ですが、ぜひやってほしいです。
P.S.世界陸上もペーサー不在ですよね。でも経験は積むに越したことはなく、NYCはアップダウンが激しく、前回と同様のコースでMGCが行われるのであれば、坂道対策はとても良いと思うのです。
期待はずれだったエチオピア勢
私は戦前、東京マラソン2021は
キプチョゲ vs エチオピア勢
とよんでいました。特に自己ベスト2時間2分台をもつ、レゲセ、ゲレメウ、そしてロンドンマラソン優勝経験があるキタタの3人はキプチョゲの次に強い選手たちです(ピラミッドの頂点にキプチョゲがいるならば、その次くらいにいる)。なので彼らを前にすると、さすがのキプチョゲもやばいかなと思ったのですが、蓋を開けると
- レゲセ・・・DNS(棄権)スタートすらしない
- ゲレメウ・・・途中棄権
- キタタ・・・10km手前で遅れる
と期待はずれな結果でした。レゲセはいなかったのでなんともですが、ゲレメウとキタタに関してはもうピークアウトしてしまったのかな?という印象です。キプチョゲは異常ですが、マラソンのような厳しいスポーツの寿命はそう長くありません。ゲレメウ、キタタは偉大な選手ですが、そろそろ次世代に引導を渡す時期なのかと思うと寂しいです。ともにこのまま終わってほしくない選手。次戦に期待です。
つづく