物議を醸す作家
百田尚樹さんといえば、古くは探偵!ナイトスクープの放送作家。そして永遠の0の作家。現在はツイッターで好き放題につぶやく方という印象が強いです。
その呟きはある界隈においてはとてもおもしろくないらしく、ゆえに大手メディアが取り上げないばかりか、書店においては本すらも大々的に宣伝しないというふうになっています。1番ひどいなと思ったのは、百田さんの作品である「海賊とよばれた男」が映画化したときに監督や主演俳優の名前は出たのに、原作者である百田さんの名前は呼ばれなかったことです。露骨である。
一昔前でしたらこういう仕打ちは本の売上に直結しますが、今はSNSの影響が大きく、百田さんはそちらで絶大な影響力をもつので本は売れているらしいです(なおそのような発言がなかったらもっと本は売れているとも言われている)。
発言はアレだけど作品は
その発言ゆえに敵も多い百田さん。作品も過激なものが多いのかと思えば全然そうではなく、むしろ驚くのはその多様性。その一部を取り上げると
- 永遠の0は回想によって太平洋戦争の状況を描く
- ボックスは2人の高校生の成長をボクシングを通じて描く
- 風の中のマリアは蜂の物語
- モンスターはブサイクに生まれた女性が整形を経て変わっていく物語
- 影法師は江戸時代を舞台に主人公とその親友の物語を描写
- 海賊とよばれた男は出光佐三をモデルとした第二次世界大戦前後の日本を描いた物語
- カエルの学園は現在の日本がおかれている状況をカエルをモデルに描写した皮肉たくさんの物語
- 夏の騎士は少年たちの成長を描くスケールが小さくも健やかな気持ちになれる物語
あくまで僕の主観入なので他の方が読むと違った見方もあると思います。
このように多種多様なテーマを題材に小説を書いているのが百田さんの特徴といえます。作家の中には池井戸さんのように銀行系だったり(スポーツも描いているけど)、司馬遼太郎のように時代小説だったりと得意分野があるものの、百田さんは毎回新たなテーマに挑戦していて、そのためには一体どれだけ色々なことを調べないといけないのだろうと思うところです。
作品の背景にあるもの
百田さんの作品すべてにあるというわけではないですが、多くの作品には1つのテーマがあります。
それは”人のために尽くす”ということです。永遠の0,ボックス、影法師、海賊と呼ばれた男に関しては自らを犠牲にしても大切な人・モノに尽くすというテーマがあります。夏の騎士もそうかもしれません。
こういう誰かのために尽くすというのは、自分が良ければそれでいいという今の日本には不足している要素かもしれません。
改めて百田さんの作品を読む返すことによって、今の自分がどういう考え方を持つべきか考えていきたいです。